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すって、はいて、そしてにっこり

泣き虫でおどおどきょどきょどした不思議なイキモノを育てるにしうらーぜのやっぱりミハ総受けのパラレル話。
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へ?

ぐずっ

三橋が鼻をすすったお陰で、タカヤを除く全員の硬直が解けた。
「お、お前。」

そういうキャラだった?

ヨシロウの口はぱくぱくとしか動いてなかったが、表情が存分に語っていた。
タカヤは無視して、今度はこともあろうに三橋を抱き上げようと両手を脇の下に入れる。
「ちょっと待てタカヤ。」
やはりこういう時には動きますコウスケ。ゆらぁりと立ち上がった体から何か良くわからないけどオーラというか怒気というか…が立ち上っている。
「ぴゃっ!」
三橋がとうとう抱き上げられて、かいぐりかいぐりされている。誰だ?こいつ!
「お前三橋だろ?オレはタカヤ。」
「う…」
泣く寸前の顔がきょとんに変わる。
「お前は良いひよこだよ。…自分で殻を割って出たんだろ?」
「ぅ…」
ちょっと違うけど、外に出たのはホントーだ。
「早く育てよ。」

「キモッ」

コウスケはおろか、ユウイチロウやヨシロウまで砂を吐きそうな顔になっている。
「う!」
三橋のおめめがきらきらっと光った。

後に語られる「よいひと!」宣言である。

三人はもはや声すらならなかった事を付記しておく。
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あ。

どーん。

そんな効果音が似合う立ち姿に全員が止まった。

よりによってこいつ?

三度のメシのエネルギーを怒鳴る、怒る、殴るに使う。恐ろしいことにそれでも彼はここでの『知の神官』を束ねている、れっきとした副神官長サマなのだ。『武の神官』の副神官長のユウトのほうが知の神官っぽいが、やることはむしろユウトのほうがえげつない。神官長のアズサもドン引きするくらいなのだ。おして知るべし。

で。

理由はどうであれ(ヨシロウが原因なので思い出したらコウスケに蹴られるだろう)、タカヤがここにいる。その事実は覆せない。現にほら、三橋をうろんな目付きで見ているではないか!
「よーしよし、怖いのかー?」
こういう時にのユウイチロウである。さっそくまだかちこーんと固まっている三橋の頭を撫でてあやしている。この神殿にいるアイちゃんという犬に撫でる仕草と良く似てる、とヨシロウとコウスケは同時に思っていた。
三橋もユウイチロウは味方なのかな?と撫でられるがままだ。
「で。それなんだ?」
ほぇ~としだした空気はタカヤの低い声に冷たいものへと変化した。
「え?三橋。」
分かりやすいのかその反対なのかわからない返答はユウイチロウ。
「今朝までタマゴだった。」
コウスケの補足説明にタカヤは一瞬タレ目をくわと見開いて、そのままずかずかと三橋のところにやって来る。きょっ、と奇声をあげて、三橋はユウイチロウにしがみつく。
「おい。」
怖がってんだろ!とコウスケが声を張り上げるが、タカヤはひかない。ますます強ばる三橋の頭にそれはやってきた。

ぽふ。

「へ」
ヨシロウが間の抜けた声をあげたが、ヨシロウがもしその声をあげなくても、誰かが必ずあげていた。

ぽふ。ぽふ。

タカヤはふんわり柔らかな三橋の頭を撫でている。

おかしい。なぜだろう。

それがほんわかとした風景に見えないのは…。

誰もが沈黙している中、ぽふ。ぽふ。という音がやけに耳に入って奇妙な空気となった。

おようふく

どうにかしてくる。とヨシロウは荷馬車に乗り、二時間後に再びやってきた。
「ほい、まず肌着。」
ぽす。
「おむつカバー。」
ぽす。
「服」
ぼすっ。
ユウイチロウのベッドの上は、三橋と彼に必要なモノで埋め尽くされた。
「なぁ?ヨシロウ…」
「交換に応じてくれた女性があれもこれもとつけてくれたんだよ!」
確かにおむつカバーは、むくむくしている三橋のそれを到底カバーできるものではない。
「幼児アイテム一式と…ってなったからな。」
それに関しては頷くコウスケ。ユウイチロウはさっさと三橋に肌着を着せようと悪戦苦闘。
「服は…その…今度三橋を見せてくれたら布代だけでいいと。」
「へー」
ユウイチロウに混ざり漸く肌着をつけおえたコウスケが何の感情をいれていない口調でいう。
「つまりはこのぷくぷくのむくむくを…」
「うさぎさん」
他人に見せるのはなぁと難色を示していたユウイチロウが、ヨシロウがぴっと立てた指と言葉に全てを中断してヨシロウをじぃっと見る。
「くまさん。」
二本目の指、ぴっ。今度は服を着せていたコウスケが反応する。
「オレも手伝うけどな。」

そこは聞いていない。

二人はせっせと服を着せ…
『できた!』

ベッドの上にちょこんと座っているのは、薄いクリーム色のタオル地に、クリーム色の大きな水玉模様がついているものだった。
「う。」
「三橋~あったかいか?きつくないか?」
「ん ん!」
首を横に振る三橋に三人ともにほっとする。
その時、部屋のドアをノックする者がいた。
「ヨシロウ!まだ納入すんでねえぞ!」
怒鳴り声に、ヨシロウはうへ、三橋はびっくりして半べそかいて、コウスケとユウイチロウは三橋を宥めるのに必死だった。
だから怒鳴り声の主であるタカヤが「入るぞ。」という言葉に反応が遅れた。

ドアが開き、黒い髪のタレ目が入ってきた時には遅く、タカヤの視界にちみっこが入ってしまったのである。

不運な男の代名詞

「よぉ。フミキ。」
ノックもせずに入ってきたのは、コウスケである。
「あれ?ユウイチロウは?」
なにやら鬼気をまとっているコウスケに引きながら、それでもフミキは訊ねた。
返ってきた言葉は「今三橋を風呂いいれさせてる。」とのこと。「先に抱っこしたんだからトーゼンのケンリだよな!」とさっさと行ってしまった。コウスケは耐えるしかない。拳がぷるぷる震えようとも。
さあ、この怒りを誰にぶつけよう。ああ、タマゴのてっぺんに穴あけさすことしたあれにしようそうしよう。
…てなてなわけで、コウスケはフミキの部屋にいる。詳しく言えば「八つ当たりしにきている」が正解か。
「あの穴、フミキがあけたのか?」
恐いっ!と言いながらも「三橋が自分でちっこい手でこんこん叩いてあけたんだよ。」と説明。誰だって右手が握りしめられていつでも殴れます状態になっていたら、フミキではコウスケには勝てない。
「へぇ?」

ああ、全く信じちゃいない!

ため息をはあああああああとついて、フミキはタマゴを預かっていた日々のことを語った。
曰く「早く見たかったから、毎日小さなお願いしてた。」

まずタマゴが揺れたら嬉しいな♪
次は自分がタマゴの殻を叩くから同じように返してくれると嬉しいな♪
で、まんまるおめめがみてみたい♪

「そしたら三橋がもみじのような手でコツコツ開けて…目が合ったらすぐに隠れちゃったよ。」
「だから…」
「そ。」

いない、いない、…ちらっ
「あれがチラリズムの極致だと思ったね!」
鼻息荒く語るフミキを拳で黙らせ部屋を出ると、ユウイチロウとバスタオルの塊が歩いていた。
ユウイチロウもコウスケに気付き、よぉ。と声をかけてくる。とりあえずフラストレーションは発散できたコウスケも返事をして、バスタオルの塊をぺらりとめくる。
「わぷ」
やはりそこには三橋がいて、りんごほっぺにちょっと泣いた跡がある。
「ユウイチロウ…」
「お湯にびっくりしたんだよなー。」
「…う。」
小さく頷く。
「あ、そだ。」
ひょいと二人+ちびに入ってきたフミキはニコニコ笑いながら「ヨシロウが急遽肌着とか持って来るって。服はオレの趣味入れたけどヨシロウもノリノリだったから。」
フミキは満足気に語る。
「あー、たのし」

コウスケの拳とユウイチロウの蹴り(両手に抱っこしている三橋には見えないように)が、フミキに見事キマッた…。

T華さんへ ( 笑)

全身ぽってりと、まんま赤ちゃん体型で、むいむいとコウスケに抱っこされてる三橋はいろんなものを見ていた。

おそら、あおい。
きは、ちゃいろ。
コウスケのかみは、くろ。
あ、めもくろ。
こえがでるところは、なんのいろ?

「こーら。」

おこられた!

またごはんぬきとかくらいかたいところにでおやすみなさい?
「ご めんな さい。」
まえのところにいて、はじめておぼえて、いっぱいつかったの。コウスケ。ごめんなさい。たたかないで。しらないふりしないで。

「おお!まるくなった!」
またコウスケじゃないこえがくる。いじめるの、かなぁ?
「みっはしー。」
ぽん、ってせなかたたかれてびくっとした。めからなみだがでてくる。こわいよぉ。
「みはし?いじめてなんかないぞ?オレのこえ、わからないかな?」

あ……

「ゆー?」
なみだでいっぱいだっためをコウスケがふいてくれると、コウスケよりもみじかいくろいかみのけのひとがオレをみてわらった。

「そ。ユウイチロウだぞ!コウスケがいじめたのか?」
ぶんぶんってくびをふる。
「そっかー!なきがおよりもにっこりかおをいっぱいしような!」
ユウイチロウはオレのあたまをくらくらするまでなでてくれた。
「オレはユウイチロウ。三橋のくちからなまえおしえてくれるか?」
「う ん!」
コウスケがくさのうえにおろしてくれる。
オレは、コウスケとユウイチロウがだしてくれたゆびをぎゅっとにぎっていった。

「み 三橋 廉!」

コウスケとユウイチロウがぎゅぅーってだきしめてくれてあたまをなでてくれた。
うれしくなって、うひってわらった。
ユウイチロウがぎゅぅーってしたままだっこしてくれた。
すぐのとこにわらってるコウスケもいる。
フミキがいったのはうそじゃないんだとおもって、またうれしくなった。
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